2011/05/25

札幌市議会議員が学んだ慰安婦問題



運動家が各地の自治体を回り、地方から中央政府を攻略しようと慰安婦問題に関するこのような「啓蒙」活動を行っている。札幌市議会議員に慰安婦問題をレクチャーしたのは、バウネットの中原道子。彼女の講演を聞いた議員の感想。中原の講演その物よりも、彼女の話を議員たちがどのように受け取ったかを理解できるという意味で、こういった間接的な情報も有益だろう。

議員によれば、中原は「2000年『女性国際戦犯法廷』を経て、国連を中心に国際的な『慰安婦』問題に係る討議決議が、結果その後起きたボスニア・ヘルツェゴビナをはじめとする紛争時の女性に対する暴力が犯罪として裁かれるように」なったと説明したようである。

バウネットはこの国際(民衆)法廷の主催団体の一つであったから彼女たちはこのように宣伝するのだが、こういった民衆法廷は珍しいものではなく、紛らわしい名前をつけても国連の「旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷」とは似て非なるものである。同じようにブッシュ大統領や小泉首相を裁いたイラク・アフガン国際戦犯法廷などもあったが、いずれもいわゆる「民衆法廷」であり、アメリカや国連を含め、どの国にもまともに相手にされていない。

だから「女性法廷」が、ボスニア・ヘツェゴビナなどの戦犯裁判に繋がったかのように説明したのは甚だ問題だと言わざるを得ない。

「島民が慰安婦の存在を知っていた事で、(沖縄に)日本軍「慰安婦」の祈念碑を建てることができた」という中原の説明も、嘘とは言えないが、まぁ物は言いようである。


日本軍「慰安婦問題の解決をめざす北海道の会設立記念集会」

14日日本軍「慰安婦問題の解決をめざす北海道の会設立記念集会」が開催され、VAWW NET共同代表 早稲田大学名誉教授、中原道子さんから、「慰安婦問題の解決は、未来を開く(女たちの記憶を世界の人々と共有すること)」との講演を伺いました。

20年前、一人の元慰安婦が名乗り出てから日本政府はまったく動いていない状態、民主党が政権政党となり、期待したが、何も変わっていない。「どうすれば解決できるのか?」普通の人たち若者たちにいかに伝えていくのかが問題。

最後の戦場となった沖縄には17ヶ所の慰安所がかつてあり、宮古島の多くの島民が慰安婦の存在を知っていた事で、日本軍「慰安婦」の祈念碑を建てることができた。
1990年代からの女性たちのNGO運動、2000年「女性国際戦犯法廷」を経て、国連を中心に国際的な「慰安婦」問題に係る討議決議が、結果その後起きたボスニア・ヘルツェゴビナをはじめとする紛争時の女性に対する暴力が犯罪として裁かれるようになり、人権侵害を許さない国際的な動きにつながっているとの話を伺った。


以下は札幌市議会議員としての篠田議員の感想。

札幌市議会では2008年11月7日に慰安婦問題に関する意見書を採択しました。
1 政府は、「慰安婦」被害の事実を確認し、被害者に対し閣議決定に よる謝罪を行うこと。
2 政府は、「慰安婦」問題解決のための法律をつくり、被害者の名誉回復と損害賠償を行うこと。
3 学校や社会の教育において「慰安婦」問題の歴史を教え、国民が歴史を継承できるようにすること を求めました。

「賠償」の文言が入ったこと、自民党を除く全会派が賛成したこと、政令市として最初の決議であることなど、画期的であったと思います。
その後、政令市の議員会に対して、札幌市の取組みを知らせ、それぞれの地域での意見書採択を求め、福岡、堺市、大阪市などの政令市を始め、全国36ヶ所で意見書・決議が実現しています。

慰安婦問題をナチスのホロコーストに擬えるのは、韓日の運動家たちがよく使う手法である。実際にはドイツ軍にも慰安所と同種の施設があったので比較するならそちらの方だろうが、ドイツ政府がこの問題について何ら特別な措置(賠償・謝罪)をとっていないという事実については説明されることはない。そもそもドイツでは問題にすらなっていない。

先日、札幌市議会に駐日ドイツ大使フォルカー・シュタンツェル氏が訪問され、超党派の議員連盟で大使から話を聞く機会があり、私はドイツにおける平和歴史教育を質問しました。
大使は、1948年生まれの方ですが、戦後、歴史授業の中で、ナチスについての教育もしっかり学び、それは当然であり、現在も同じように普通に教育が行われているとのことでした。

又、今年1月ドイツ大統領はアウシュビッツ強制収容所開放66周年で、初めて演説し、「個人的な罪の有無とは別に、ドイツ人は歴史的な責任を負う。二度とこのような犯罪が起きるのを認めてはならない」と強調したとも聞いています。
日本では残念ながら学校や社会での教育で、「慰安婦」問題の歴史を教え、国民が歴史を継承することと逆行しているのが、実情であり、若者たちには知る機会も与えられていないのです。

20年前に韓国国内で元慰安婦が名乗り出たのは、234名と聞いています。しかしすでに生存者は73名まで減っており、日本は被害者が全員亡くなるのを待っているのではとの疑念が各国で高まっており、米国下院、カナダ、オーストラリア、オランダ、EU、韓国、台湾議会では決議採択され、ILOでは5回に渡り慰安婦は性奴隷であり、強制労働条約違反であると救済勧告がされています。本当に恥ずかしいことです

人権問題である「慰安婦」問題の立法解決が早期に行わなければならないと考えます。
決して政局にすることなく、多くの良識ある国会議員により前進するように、多くの方たちとともに働きかけていきます。



各国で決議が採択されたと言っても、実態はかなり出鱈目である。参考までに、下がカナダ議会での採択の様子。演説しているのは中国系のオリビア・チョウ。彼女の説明は一言でいえば滅茶苦茶。地方議員に対する説得工作では、こういった認識不足や誤解については触れられず、各国から「慰安婦問題の解決を求める」決議が上がっている、とだけ説明されることが多いようである。



なお、篠田は市議会議員として以前からこの問題に取り組んでいる

追記: こちらのブログで集会のプログラムや中原の講演のレジュメが公開されている。
追記2: 2012年、札幌市議会で「日韓請求権協定に基づく協議に応じることを求める意見書」が採択された(3.28)。提出者は、民主党・市民連合、公明党、日本共産党、市民ネットワーク北海道と市政改革クラブであった。

日韓請求権協定に基づく協議に応じることを求める意見書

昨年8月30日に韓国憲法裁判所は、韓国人原爆被爆者問題と日本軍「慰安婦」被害者問題について、「日韓会談では協議されていないので未解決であり、韓国政府が、日本政府と解決のための協議を行わないでいるのは、政府に国民の人権を守る義務を課している韓国憲法に違反する」との決定を下した。

これを受けて、韓国外交通商部は9月15日、日本政府に日韓請求権協定に基づく協議を公式に求めたが日本政府は、「日韓請求権協定で解決済み」として協議に応じようとしていない。

(中略)

札幌市は一昨年、韓国の大田広域市と姉妹都市提携を締結し、日韓親善に努めているところであるが、政府間レベルでは昨年の日韓首脳会談以降、日韓関係は冷却している。

日韓関係に関して本市議会は、1992年6月に「従軍慰安婦問題に対する公正な施策を求める意見書」を全会一致で可決し、「わが国の真摯な対応が内外から求められている」として、政府に「誠意ある施策を速やかに講ずることを強く要望」した。また、2008年11月に「『慰安婦』問題に関する意見書」を可決し、政府と国会に「被害者の尊厳回復」と「誠実な対応」を求めた経緯がある。

(中略)

よって、政府においては、韓国政府との協議に応じ、韓国人原爆被爆者問題と「慰安婦」問題の解決に関する協議を早急に開始することを強く要望する。