2012/04/29

米軍批判の比・慰安婦団体と反日に特化する韓国?

フィリピンの支援団体は、米軍の性暴力にも厳しい

先週の水曜日に撮られたこの写真にも見えるように、フィリピンの慰安婦支援団体は反米軍・反基地闘争にも熱心で、元日本軍慰安婦がデモに駆り出されている。正直、慰安婦が政治運動に利用されているという印象も受けるが、プラカードにはこう書かれている。

「アメリカ兵は、今すぐ出て行け!」「STOP 石油目当てのアメリカの戦争と軍事侵略」「我が国の女性と子供に対する強姦を止めろ!」「我が国は君たちの遊び場ではない」
Comfort women hold placards to condemn the Philippine-U.S. joint military exercises during a protest in front of the U.S. Embassy in Manila April 27, 2012. American and Philippine troops waded ashore on Wednesday in a mock assault to retake a small island near disputed areas in the South China Sea, an exercise expected to raise tension with rival claimant China.

2012年4月27日、マニラにある米国大使館前で行われた抗議活動で、慰安婦が米比合同軍事演習を批判するプラカードを掲げている。水曜日、米軍とフィリピン軍の兵士たちが、奪還作戦を仮想して紛争海域の近くにある南シナ海の小島に上陸した。この演習は紛争の相手国である中国との緊張を高めると見られている。
ロイター 2012.4.27

プラカードから見ると、抗議はガブリエラ女性党やフィリピンの慰安婦支援団体リラ・ピリピーナが主導したものらしい。慰安婦たちが政治運動に取り込まれているにしても、同じような建前を取りながらその実反日運動に狂奔する韓国の支援団体と比べ、フィリピンの支援団体はより純粋に「女性の人権」や「戦争と性暴力」をテーマに活動しているような印象を受ける。少なくとも、彼女たちからは反日色は感じられない。反基地闘争といえば、日本の運動家も同じで、彼女たちは沖縄の米兵の性暴力は本質的に日本軍による性暴力、すなわち慰安婦問題と同じと主張する。例えば、一年半前に開かれた女性戦犯法廷10周年シンポジウムには沖縄から宮城晴美が参加して「沖縄の女性が独自に性暴力を断ち切ることはもはや不可能...米軍基地の撤去を求めている」と訴えている。

4年前に沖縄で米兵が強姦事件を起こした時も、ガブリエラ女性党は「米軍の存在が女性と子供にとって危険であることを再び証明した」との声明を発表している(この時の被害者はフィリピン人)。

糸数けいこ参議院議員は、水曜デモ千回記念の企画で
米軍による性暴力問題を訴えた(2012年)


韓国の慰安婦支援団体といえば挺対協だが、彼女らもルーツはフェミニスト系。体制批判も行なっていた。その常任代表であるユン・ミヒャンの夫(金三石)には北のスパイとして逮捕歴があり、現在でも挺対協は北の(官製?)団体と共闘したりしているから、やはり親米保守より反米左派に毛並みは近いのだろうが、米国など国際社会の圧力を使って日本を追い詰めようという作戦を取る彼女たちは、そのせいか反米闘争には消極的であるようだ。

実は、彼女たちは(米軍)基地売春婦も運動に取り込もうとはしている。早くから、基地売春婦の問題を無視したまま日本軍慰安婦の問題だけ騒いでいるのはおかしいという批判があったからかもしれない。もっとも、それを指摘した大学教授(キム・ヨンフン)は「被害ハルモニ」を娼婦と同列に扱ったとして挺対協から辞職を要求された

慰安婦の前で謝罪に追い込まれた李栄薫教授(2007年)
日本軍慰安婦問題を他の問題と同列に扱わせない韓国


しかし、挺対協は米軍基地売春婦の問題を取り上げるようにはなったものの、アメリカ大使館の前ではデモは行わない。あろうことか、日本大使館前に「被害者」を呼んで対日糾弾デモ(水曜デモ)に参加させているのである。

なぜ挺対協は反米デモを行わないのか?アメリカの議員たちの協力を頼みにしている彼女たちにとって、反米的な活動はしたくないという理由の他に(日本の進歩的議員たちは反日運動に寛容なのだが・・・)、下に見えるように日本軍慰安婦制度を「世界に類を見ない凶悪な犯罪」だと主張する彼女たちは、他国の同種の問題に埋没して「日本軍性奴隷制度」の残虐性が希薄化するのを警戒しているのかもしれない。

This is an atrocious crime,unparalleled in the world. This is indeed "slavery" and "deportation", and an integral part of the national extinguishment policies of the Japanese colonial government, enforced in Korea in the 1930's and the 1940's.

これは世界に類を見ない凶悪な犯罪であった。これは正に「奴隷制」と「移送」であり、日本植民地政府が1930年代から40年代に朝鮮に課した国家的抹殺政策の必須の部分であった