2012/12/22

パク・クネ(朴槿恵)「正しい歴史認識を土台に」


韓国の新大統領となったパク・クネ(朴槿恵)。「正しい歴史認識を土台に東アジアの和解、平和が拡大するよう努力する」と言ってはいるが、これは形式的な発言だろう。

日韓の両リーダーは、両国関係の改善に前向きと見られる。邪魔しているのは「真の和解」とか「心からの謝罪」とか綺麗事を言っている人々。イ・ミョンバク前大統領は、任期中慰安婦騒動とは距離を置いていたが、運動家らが仕掛けた違憲判決により追いつめられ、最後には暴走した

レームダック化する政権末期にパク・クネが反日ドーピングに逃げこむかどうか。それは数年後になってみないと分からない。

竹島、慰安婦問題…朴槿恵氏「和解、平和拡大に努力」 

【ソウル=加藤達也】韓国大統領選で勝利した保守系与党、セヌリ党の朴槿恵(パク・クネ)氏(60)は20日午前、ソウル市内の党本部で会見し、日韓間の懸案である竹島(韓国名・独島)や日本の朝鮮半島統治時代の慰安婦問題などを念頭に、「正しい歴史認識を土台に東アジアの和解、平和が拡大するよう努力する」と対日認識の原則を示した。

朴氏は選挙戦で、日韓関係の重要性について強調してきたが、大統領選を制した後の初会見では今後の安倍晋三政権との日韓関係構築に向け、自らの立場を強調したものとみられる。

朴氏はまた、北朝鮮の事実上の長距離弾道ミサイル発射に言及し「われわれが置かれた安全保障の現実がいかに厳しいか、象徴的に示している」と述べ、北朝鮮の挑発に厳しく対処する姿勢を明確にした。

朴氏は選挙戦で、「過去の問題はあるが未来が重要」として、対抗馬だった左派系最大野党の文在寅氏(59)とは一線を画しており、日韓関係を安保環境の強化につなげたい認識を指した発言とみられる。

会見に先立ち、朴氏は20日朝、当選後初の政治日程として、韓国大統領在職中に殺害された父、朴正煕氏が埋葬されるソウルの国立墓地を訪れ、墓前で当選を報告。李承晩初代大統領や金大中大統領の墓にも足を運んだ。

同日午後には米国のソン・キム駐韓大使や駐韓中国大使らと会談する予定で、北朝鮮情勢などについて協議するものとみられる。

産経 2012.12.20

産経新聞による、パク次期政権の対日方針に関するもう少し詳しい考察。

6年前に来日した時、パク・クネは安倍晋三と会談。安倍:あなたとは価値観が一致する部分が多い。パク:歴史問題以外は。パク政権の対日基本方針は(1)日韓信頼回復(2)日本からのメッセージに対応(3)外交摩擦は管理する態勢作りで、最も重要視するのが慰安婦問題ということである。

竹島問題、慰安婦問題…懸案山積の日韓 朴槿恵氏の対日観は?

【朝鮮半島ウオッチ】

 まもなく誕生する日本の安倍晋三政権と来春スタートする韓国の朴槿恵政権。日韓の新リーダーには、出自や経歴で明らかな保守本流の理念と時代を切り開こうとの強い意志ーという共通項があるようだ。両国間には前政権でこじれてしまった竹島問題と慰安婦問題、さらに双方のナショナリズムという懸案が立ちはだかる。旧知である朴氏と安倍氏はどのような日韓関係を目指すのか。2013年の日韓が面白くなってきた。(久保田るり子)

 ■安倍晋三氏にほほ笑んだ朴槿恵氏

 領土や慰安婦問題では「妥協しない」と原則論を強調し、韓国流「正しい歴史認識」の共有を日本にも求めている朴槿恵氏。朴氏はどんな対日観の持ち主なのか。その真意が伺えるエピソードがある。

 2006年3月、日韓関係は韓国・盧武鉉政権と日本・小泉政権の間で小泉氏の靖国神社参拝問題などで最悪だった。朴槿恵氏はこの時期にあえて野党党首として訪日した。

 小泉氏と会談した朴氏は「盧大統領は感情的に対応し、日本との対話を断絶してしまった」と盧氏を批判し、「両国は懸案のため未来への第一歩を踏み出せずにいる。(小泉)首相の在任中に日韓間の懸案を解決してほしい」と述べた。

 朴氏は官房長官だった安倍氏とも会談、「歴史問題」についてこんな風に話した。「私は、自分たちの世代で(歴史問題を)何とか解決したいと思っているのです」

 安倍氏は「話し合うことが大切だ」と応じ、朴氏の率直な話しぶりに共感して国際情勢の意見交換に話がはずんだ。そして最後にこう言った。「私とあなたは価値観で一致する部分が多い」。すると朴氏は、「歴史問題以外は…」と安倍氏ににっこり笑いかけたという。

 ■朴槿恵氏の心情は?

 朴槿恵氏が「自分の世代で解決したい」と話した背景には、竹島問題や慰安婦問題の根が日韓国交正常化にあるからだろう。

 日韓交渉(1951年ー65年)で最後までもめた竹島問題は、「解決せざるを持って解決とする」とする妥協案(密約)を持ってようやく妥結した。しかしこの了解は90年代になると韓国側で霧散してしまい、その後は現在に至るまで竹島問題はエスカレートの一途だ。一方の慰安婦問題は、日韓交渉当時には交渉の対象に含まれず、経済協力資金5億ドルとひきかえに韓国が個別請求権を放棄した。だが、90年代に入って韓国側で「日本軍の強制性」が問題化して、日本に「国家による謝罪と補償」を求めてきた。

 朴槿恵氏の在任半ばの2015年、日韓は国交正常化50周年を迎える。だが、竹島、慰安婦でこじれている日韓関係は祝賀ムードにはほど遠い。

 日韓交渉の行われた60年代の韓国のGNPは80ドル以下で北朝鮮の半分だった。父が国土復活の命運を賭けて選んだ日韓国交正常化の道。その結果、残ってしまった「歴史問題」を解決したいという朴槿恵氏の思いは深いに違いない。

 ■朴槿恵キャンプの対日政策案

 来年2月25日の大統領就任式を目指し、朴槿恵次期大統領は政権引き継ぎ委員会を組織して、具体的な政策立案にかかる。その核心メンバーはすでに大統領選挙戦で新政権の政策プランを練った学者、研究者、専門家などの選挙キャンプの参謀たちだ。

 政策アドバイザーによると、対日政策は(1)日韓信頼回復(2)日本からのメッセージに対応(3)外交摩擦は管理する態勢作りーが基本方針で、竹島、慰安婦、靖国神社参拝といった歴史認識に関する懸案のうち、朴槿恵新政権が最も重視するのは慰安婦問題という。

 「本来なら2015年へのロードマップを作りたいところだが、現時点では日韓関係を立て直すことが先決だ。まずは安倍政権の対応を見ている」(アドバイザーの一人)

 安倍次期政権の動きは素早い。大統領選の翌日、朴氏に贈った祝辞には「大局的な観点から日韓両国の関係をさらに深化させていきたい」とメッセージを添えた。さらに21日、特使として額賀福四郎・日韓議連幹事長をソウルに派遣した。

 韓国側は安倍新政権が大統領就任式直前の「竹島の日」(2月22日)をどう扱うかを「試金石」と位置づけてきたが、安倍氏側はこの件も早々と「政府式典は見送り」を発表した。日韓間の話し合いの環境整備は、日本側から着々と進めている。

 かつて朴正煕氏は日韓交渉の終盤の1961年、訪米の往路で訪日し、安倍氏の祖父、岸信介元首相と会談して韓国の復興に協力を求めた。岸氏は国交樹立後に椎名悦三郎氏らと日韓協力委員会を立ち上げている。

 2人の新リーダーは戦後日韓史から現在を俯瞰(ふかん)して新時代を築けるのか。展開が興味深い。

産経 2012.12.23