2012/12/09

朝鮮日報文化部次長「日本では記憶歪曲の集団化」


もしかしたら、この人は本気でこんな事を言っているのかもしれないと思わせるようなコラムだが、実際はどうなのだろう。

これは「強制連行」という業界用語(ジャーゴン)を使って世間を混乱させた社会党を始めとした日本の左派勢力に責任があるわけだが、日本の政治家が一貫して否定しているのは、日本政府(行政機関)による朝鮮人慰安婦の徴用・・・いわゆる強制連行である(韓国メディアは「強制動員」という言葉を使うが、この言葉が=強制連行かどうかは微妙)。

イ・ヨンフンなど韓国の学者の著書を読んでも、その点はある程度の教養レベルの韓国人には理解されているはずなのだが、20年も難癖をつけている内に大新聞社の記者でも本気で分からなくなって来ているのかもしれない(昨年の外務省包囲デモの時に会った韓国人記者は本当に理解していなかった)。

「記憶は常に捏造される可能性があるため、教育し続けなければならない」

・・・まさにその通りである。90年代の自分たちの紙面を読み直せとしか言い様がない。彼は捏造された記憶に基づいて他人(日本人)を批判しているのである。なお、河野談話を破棄すると公約した政党はないと思う。


【コラム】「集団記憶歪曲」に陥った日本

数年前、軍服務時代の先輩に会ったときのことだ。かなり焼酎を飲み話に花を咲かせていたとき、先輩がふと話題を変えた。

 分隊員だった私の失敗で、分隊長だった先輩が、完全軍装で練兵場を何周も走らされたという。問題は、いくら思い返しても私の頭の中にはその事件についての記憶が全くなかったことだ。「ああ、こうやって自分のいいように記憶は編集されることもあるんだなあ」と申し訳なく思った。

 数年前のそのことを再び思い出したのは、11月21日付新聞に掲載された事件の記事だった。泥酔した状態で妻を殴って殺した後、警察に自ら通報までした50代の男に、殺人の記憶を自ら消してしまう「記憶歪曲(わいきょく)」現象が見られるという内容だった。この男をプロファイリング(犯罪心理分析)した警察官は「意図的にうそをついているというより、特定の状況だけ歪曲して記憶しているようだ」と話した。犯罪や事故などで強烈なストレスを受けると、状況を忘れたり、自分を防御するために記憶を捏造(ねつぞう)したりするという。うそ発見器にも真実反応が出るほど自らの記憶をすり替えてしまう異常事態で、脳がリセットされるということだ。

 翌日の新聞1面に報じられた「日本の歴史時計、100年前にUターン」と題する記事は「記憶歪曲」に「集団」が加わり、さらに考えさせられた。12月の総選挙で政権を取ることが確実視されている自民党の極右回帰公約について扱った内容だった。自民党の公約はあきれるほどのレベルだ。戦争や軍隊の保有を禁止した平和憲法を改正し、天皇を国家元首と明記するというものだ。過去の歴史に対する反省を含む歴史教科書は「自虐史観偏向的」なため全面的に改訂すると主張している。

 さらには日本政府が自ら調査を行った後、日本軍による従軍慰安婦の強制動員を謝罪した「河野談話」を破棄することも公約に含めた。まるで過去の歴史と関連した詭弁(きべん)や暴言を全て集めた完結編だ。「慰安婦が日本軍に暴行、脅迫を受け、連行されたという証拠はない(橋下徹・大阪市長)」「(河野元官房長官が)成り行きも知らずに慰安婦募集の強制性を認め、日韓関係を壊した。貧しい時代に売春は利益の上がる商売だったし、慰安婦が(自ら)仕事を選んだのだ(石原慎太郎・前東京都知事)」など。これまで日本の有力政治家たちが並べ立てた妄言は、すでに羅列するだけで疲れるほどだ。

 今までわれわれは、日本が過去の歴史を否定することをドイツのケースと比べ「過去を忘却した国家・民族には未来がない」と批判してきた。しかし、いまや「忘却」を超えて「記憶歪曲の集団化」が急速に進んでいる。今、日本の政治家の言動や彼らを支持し、執権党にしようとしている有権者たちを眺めていると「ある事実を忘れる」という意味の「忘却」という単語は、もう少し正常な場合に使わなければならない気がする。

 今年10月、カンボジアで開催されたあるフォーラムでキリングフィールド(ポル・ポト政権下のカンボジアで、大量虐殺が行われた刑場跡の俗称)時代の資料を収集し、当時の歴史を研究しようという現地の非政府組織(NGO)代表が次のように話した。「記憶は常に捏造される可能性があるため、教育し続けなければならない」

金翰秀(キム・ハンス)文化部次長