2014/04/05

「専門家」らが署名活動、「河野談話検証は不可能「日韓関係の障害になる」


「再度検証するのは事実上不可能」。そういうものを検証するのが、林教授の仕事だと思ったのだが・・・。今週の週刊文春で、あのアン・ビョンジク教授が「この人(自称慰安婦)、今になって思えば間違いです。・・・日本本土に本格的な軍慰安所があったという主張はおかしい。・・・今、あらためて読み返せばこんな人(証言者)が何人か出てくるかもしれません」などと語っているのである(2014年4月10日号)。「日本国内の研究者グループ」は、河野談話を聖域化しようとしているだけ。これでは研究者とは言えない。

研究者ら「河野談話維持を」 署名1300人超える

日本国内の研究者グループが、従軍慰安婦問題に関する河野洋平官房長官談話の発展継承を求める研究者を対象とした署名運動を始め、賛同者が千三百人を超えたことが十二日分かった。今月三十一日に記者会見を開き、日本政府に要望する予定で、賛同者はさらに増えそうだ。 (編集委員・五味洋治

このグループは「河野談話の維持・発展を求める学者の共同声明」事務局。林博史・関東学院大教授と小浜正子・日本大教授を中心に、歴史、社会学など幅広い研究分野の学者計十五人が呼び掛け人になっている。

呼び掛け文では、河野談話を「内容について見解の相違はあるにしても、日本政府の事実承認と反省の表れとして、一定の積極的な機能を果たしてきた」と評価。「実質的に否定するような見直しは、国際社会との関係に深刻な緊張をひき起こす」と、談話見直しを進めるような発言があった安倍政権をけん制する。

さらに「河野談話の精神を具現化し、被害女性の名誉と尊厳を回復することは、欧米やアジア等の諸国との友好関係を維持発展させるためにも必須」と訴えている。

日本政府は、河野談話の作成過程で集められた元慰安婦の証言について検証を始める方針。菅義偉(すがよしひで)官房長官は談話に関して「見直すことは考えていない」と説明するものの、韓国政府は検証作業を「河野談話を否定する動きだ」と非難しており、日韓関係の新たな障害になる可能性がある

林教授は「賛同してくれたのは理系の研究者も多く、この問題への関心の強さが分かった」と強調。「二十年も前に行われた調査を再度検証するのは事実上不可能。政府の狙いは、河野談話の根拠があいまいだとして、事実上否定するところにある」と指摘した。

東京 2014.3.13

その声明文。ネットで賛同者を募っている

【声明文】 河野談話の維持・発展を求める学者の共同声明

この間、いわゆる日本軍「慰安婦」問題に関する1993年の「河野談話」を見直そうという動きが起きています。「河野談話」は「慰安婦」問題は日本軍の関与の下に多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけたものであることを認め、同じ過ちをけっして繰り返さないという日本政府の決意を示したものであり、これまで20年余にわたって継承されてきました。

「河野談話」が出されてからも、学者や市民の努力によって数多くの新たな資料が発見され、多数の被害者からの聞き取りも行われて、研究が深められてきました。 「慰安婦」の募集には強制的なものがあったこと、慰安所で女性は逃げ出すことができない状態で繰り返し性行為を強要されていたケースが多いこと、日本軍による多様な形態の性暴力被害がアジア太平洋の各地で広範に発生していること、当時の日本軍や政府はこれらを真剣に取り締まらなかったこと、など多くの女性への深刻な人権侵害があったことが明らかになっています。こうした日本軍による性暴力被害が、日本の裁判所によって事実認定されているものも少なくありま せん。

被害者の女性は、戦争を生き延びたとしても、戦後も心身の傷と社会的偏見の中で、大変過酷な人生を歩まざるを得なかった方がほとんどです。

「河野談話」で示された精神を具現化し、高齢となっている被害女性の名誉と尊厳を回復することは、韓国や中国はもとより、普遍的な人権の保障を共通の価値とする欧米やアジア等の諸国との友好的な関係を維持発展させるためにも必須だといえます。

私たちは、「河野談話」とその後の研究の中で明らかになった成果を尊重し、日本政府が「河野談話」を今後も継承し、日本の政府と社会はその精神をさらに発展させていくべきであると考え、ここに声明を発表します。

2014年3月8日

     呼びかけ人(アイウエオ順)

阿部浩己(神奈川大学教授・国際法)

荒井信一(茨城大学名誉教授・歴史学)

伊藤公雄(京都大学教授・社会学)

石田米子(岡山大学名誉教授・歴史学)

上野千鶴子(立命館大学特別招聘教授・社会学)

内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授・日本-アジア関係論)

岡野八代(同志社大学教員・西洋政治思想史)

小浜正子(日本大学教授・歴史学)

小森陽一(東京大学教授・日本近代文学)

坂本義和(東京大学名誉教授・国際政治、平和研究)

高橋哲哉(東京大学教授・哲学)

中野敏男(東京外国語大学教授・社会理論・社会思想)

羽場久美子(青山学院大学教授・国際関係論、国際政治学)

林博史(関東学院大学教授・平和学)

吉見義明(中央大学・日本現代史)

和田春樹(東京大学名誉教授・歴史学)

河野談話維持・発展を求める研究者の共同声明・事務局