2016/04/10

選挙公約で日韓合意触れず、野党の面従腹背?

共に民主党(野党第一党)は、無効宣言まで出したが・・(12.30)

日韓の最終合意があれだけ大騒ぎになっているというのに、与党も野党も選挙公約でこの問題に触れようとしないと挺対協が不満を言っているらしい。

合意無効宣言でのチョン・チョンレ最高委員
「合意はありえない」

与党としては当然、評判の良くないこの件を選挙に絡める必要性を感じていないだろうが、問題は野党である。昨年末に合意無効宣言まで出した共に民主党だったのに、三月に入ると幹部の一人が再交渉が現実的でないことを「ハルモニ」たちの前で認めざるを得なかった。挺対協が日韓両政府が設立する財団を妨害する為にでっち上げた「正義記憶財団」に1億ウォン(900万円)を寄付するなどして胡麻をすったお陰で、その場をどうにか誤魔化させたようである。

ハルモニの手前勇ましいことを言っても、国民の党のアン・チョルスを含め、政権交代の暁には合意を破棄しようと本気で考えている政治家が、果たしてどれだけいるのか。

1億ウォンもらったハルモニらはご機嫌だったが
共に民主党も本気で合意を覆す気はないのだろう

国民の党共同代表アン・チョルス
「政府は合意無効を宣言すべき」


韓国与野党の総選挙公約から消えた慰安婦合意再協議

韓日両政府の日本軍「慰安婦」被害者問題の12・28合意に対する反発が依然激しい。 「政府は再協議しなければならない」という意見が58%(1月8日韓国ギャラップ)に達し、被害者たちは「人間の尊厳を侵害した合意で違憲」とし憲法訴訟を起こした。 一方、韓国政府は日本政府との12・28合意履行のための実務協議に速度を上げている。 早ければ今夏から合意内容である被害者支援財団の設立作業が本格化すると発表された。

だが、与党のみならず第1、第2野党の総選挙政策公約集にも、この問題と関連した言及は全くない。 第20代国会議員選挙で慰安婦被害者問題が徹底的に敬遠されていると指摘される理由だ。 韓国挺身隊問題対策協議会のユン・ミヒャン常任代表は「なぜ共に民主党と国民の党までが政策公約集で慰安婦問題に言及すらしないのか」とし「慰安婦問題を軽視している」と批判した。

セヌリ党は12・28合意を支持し歓迎するという見解を繰り返し明らかにした。 合意直後、セヌリ党のイ・ジャンウ広報担当は「慰安婦問題解決の進展を歓迎する」(12月28日)と公式論評し、金武星(キムムソン)代表は「これまでのいかなる合意よりうまくいった合意と見る」(12月31日)と持ち上げた。 とはいえセヌリ党が総選挙公約集でこの問題を「外交成果」として前面に出さないのは、否定的世論が強く、総選挙での得票に役立たないという判断があるものと見られる。

共に民主党の態度は混線そのものだ。 共に民主党は12・28合意の後、「再協議」を党論として採択した。 しかしこれを公約集には反映しなかった。 昨年12月31日、当時の文在寅(ムンジェイン)代表は国会のローテンダーホールで糾弾大会を開き、「空前絶後の屈辱的交渉であり、慰安婦被害者の人生全体を根こそぎ侮辱した」として「この合意に反対し無効を宣言する」と明らかにした。 同党が出した15件の関連論評とブリーフィングも大同小異だ。 しかし同党の総選挙指令塔を務めるたキム・ジョンイン代表は3月1日、慰安婦被害者たちと会った席で「ひとまず国家間の交渉をしたので現時点では修正できる条件はないと考える」と一線を画した。 公式党論とは180度異なる態度だ。

国民の党政策公約集でこの問題を扱わなかっただけでなく、12・28合意後に創党したためか、関連公式論評をただの一度も出していない。 ただし、安哲秀(アンチョルス)共同代表が「大統領と政府は12・28合意の無効を宣言すべきだ」(2月20日ツイッター)という趣旨の発言は繰り返した。

正義党をはじめ労働党や民衆連合党など進歩指向の政党は、それぞれ政策公約集で12・28合意無効化と再協議を求めている。 正義党は「慰安婦合意を無効にし再協議を推進する」として「新たな韓日協定の締結」を提案した。 労働党は「合意無効化」とともに「日本政府次元の謝罪と賠償要求」を盛り込み、民衆連合党は「条約締結の手続き法を制定し慰安婦合意を再検討する」と掲げた。