2012/07/12

ニコンは全世界の写真家に謝罪せよ-- アン・セホン



「全世界の写真家に公開謝罪せよ!」本当にアン・セホン(安世鴻)はそこまで言ったのだろうか?

原文はハングルで書かれているから、日本の支援者(報道写真家から、政治運動家まで)が書いたものではなさそうだが。

自分は写真展が抗議で中止に追い込まれたことには一貫して批判的である。一番責められるべきは圧力に屈したニコンサロンである。政治活動を理由に途中で拒絶するぐらいなら、ニコンサロンは最初から規約に禁止事項として書いておくべきだ。もっとも、アンの写真展のサブタイトルは「第二次大戦中の日本による軍用性奴隷制度(Military Sexual Slavery by Japan During the Secound World War)」というおどろおどろしいもの。わざわざ日本に来て、このようなタイトルで展示会を開くというのは、なかなか挑発的である。

国民の知る権利を侵害したというのも理解に苦しむ。彼は日本人ではない。ニコンに対し補償を要求しているが、注目されたお陰で展覧会は大盛況だったらしい。

とにかく、この文面からはいい印象は受けない。日本のナショナリスト(実態はよくあるネットの炎上騒動ではなかったのか?)が展示会を一時中止に追い込み、アンとその支援者たちが慰安婦問題=「反日ナショナリズムの象徴(大沼保昭)」を掲げてニコンに謝罪を要求している。板挟みになったニコンはいい面の皮である(アンは世界中から同情を集めた)。ニコン側の弁護士を不道徳な人間と呼び、ニコンが観客の人権を侵害したとまで言う。世界に例のない出来事だなどと、イラク戦争を取材した綿井健陽(アンの支援者の一人)はどんな気持ちで、こんな法螺話を聞いているのだろうか。

ソウルの日本大使館に突っ込んだトラック
日本の右翼を非難する韓国メディアだが、これは右翼ではないらしい

脅迫に負けて表現の自由を放棄することは許されない。多くの日本人はそう考えているだろう。日本の新聞もアンの側を支持している。そこで逆に提案。日本大使館に車で突っ込んだテロリストを非難する声明を出すべきではないか?容疑者は元慰安婦を侮辱(貞操を踏みにじる)した「日本人に懲らしめるためにした」と言ってる。日本の言論の自由に守られて、アンは写真展を開催できたのである。自分の国の言論の自由にも一言あっていいだろう。

2012年7月9日
株式会社ニコン
取締役社長兼社長執行役員 木村眞琴 様

抗議文

「重重‐中国に残された朝鮮人元日本軍「慰安婦」の女性たち」安世鴻写真展に対する貴社ニコンの不当な一方的中止通告と写真展妨害などの行動に抗議します。

写真展の準備及び進行において、この写真展に協力する写真家たちを無視した処置と展示進行の妨害に対する全てのニコンの行動は「写真文化向上」というにニコンの理念に反する行動であり、写真家と写真愛好家に大きな失望を与えた。

ニコンは裁判所の3度にわたる施設使用の「仮処分」の結果に従うのであるという理由と、施設の管理権限でもっていつでも写真展を中止する事が出来ると威嚇した

また、自ら選んだ審査員によって決定された写真展を中止・妨害する逸脱行為は、全世界を見ても探すことのできないものであり、写真家に過大な損害を残した。

仮処分手続きの進行と展示進行においてもニコンは不道徳な弁護士を雇い、写真展を妨げ写真家と観客の人権を侵害した。写真展の準備段階からニコンは弁護士をサロン内に常駐させ、写真家安世鴻の一挙一動を監視し、誰に会いどんな話をするのか、撮影・録音を行っていた。

さらには、安世鴻のサロン外の行動にまで干渉し、他者との会話を横で監視するなど、深刻な人権侵害を行った。また、老若男女を問わず全ての来場者に対し、鞄の中をチェックするなどの行為は深刻な人権侵害である。

ニコンは写真展開催初日から今日まで、報道関係者のサロン内での写真、ビデオ撮影を禁止するなど、取材活動を妨害し、国民の知る権利をも侵害した。また、安世鴻自身によるギャラリー内の写真撮影を禁じるなど、不可解な行動を行った。

写真展が行われている新宿エルタワービル内部で、この写真展を知らせる告知を掲示せず、ホームページでも通常の案内表記がなされないまま、写真展来場希望者に混乱を引き起こした。

写真展の基本となるパンフレットの配置において、その数と種類を制限し販売と配布を禁止するなど鑑賞者たちの知る権利と写真家に深刻な損害を与えた。

このような一連の一方的姿勢、対話拒否は一連の混乱と問題を引き起こし、写真家とその家族、周関係者の人々に多大な精神的被害と物質的被害を与え続けている。

ニコンはこれに対する責任をとり、反省すべきであり、以下の内容を履行する事を要求する。

1. ニコンは、安世鴻写真展開催に対する自らの説明・対応の過ちを認め、全世界の写真家たちに公開謝罪すること。

2. ニコンは、「表現の自由」を抑圧する行為を中止し、ニコンサロンで行われる写真展に対して同じような対応・行為をしないことを約束すること。

3. ニコンは、安世鴻の大阪アンコール写真展(9月13日~19日)が予定通り行われるよう積極的に協力すること。

4. ニコンは、一方的な写真展取り中止通告と妨害により生じた精神的、物理的被害を安世鴻に対して補償すること。

ニコンは、上記の項目を実践するとともに、「写真文化の向上」に向けて、誠実な対応をすることを望む。

2012.7.9.
安世鴻